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鬼ヲ脱グ【鬼滅の刃】

第4章 矛盾



「なぜ貴様がそこまでする....!」

嘘や騙したり陥れる雰囲気も感じない黒死牟。

だが、猗窩座はそこまでされる義理を全く感じてはいない。


だが、追ってこないのなら好都合。
確認のために聞いた。


「いろいろと小さな条件が積み重なった結果だということだけは教えてやる。

とにかく、結論と初動は早い方がいい。


次の新月までには結論を出さねば共倒れになると私は見ている。」

「あの女は間違いなくあの一族の生き残り。

生い立ちは令嬢だろうと今は既に何の力も持たぬ一般庶民だ。

今、あの女には何の危険要素も利用価値もない。

無惨様は完璧を好むが故の執着のみで追うだろうが一族の生き残りであると気付いていない。

鬼の交信を断つ力の女とは別の存在と考えているようだ。」


言われてみればそうだった。


仕草の一つ一つが丁寧で、品があり、所作が整っていて美しい高貴さをどことなく感じる。

自分との身分の違いに一瞬怯むも、何を今更と言い聞かせた。



「貴様が生き残る術は先ほどの二択以外ないと思え。」


「わかった。」


「今行くか?」


そう聞いてくる黒死牟に、『稀血の女を一人にするな』という無言の圧が感じられる。


だが、この傷を晒したくはない。



「生憎行ける状態にない」

「回復する程度にしか血はやらんぞ……」

そういい放つと同時に、黒死牟は自分の腕を露にしざくりと切り開いて血を流した。

「は?、…っおい!」

「気が変わらぬうちに急げ。早くしろ。」


声色は苛立ちがあったものの、表情は変わらぬまま。

この男は本当にわからんと心でぼやきながら滴る血を手皿に受け取った。


「解ってる。恩に着る」


己の血を飲む猗窩座の姿を見下ろして
黒死牟が声をかけた。

「貴様との決闘、某を超えに来い…。
平穏に暮らせば毒を以て殺しに来る……。


10年以内に挑みに来い……。」

「あぁ。わかった。」


猗窩座は黒死牟が垂れ流す赤い血溜まりに目の色を変えてかみついた。
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