第9章 月詠の子守唄
蜜口に当てがった俺の杭を奥に沈める。
ゾクゾクと情感が背筋を伝って全身を支配する。
「くっ...。う、ぁ...」
声が思わず漏れてしまうのは、この状況と必死に手の甲で口元を押さえて声を殺す桜華が堪らなく愛おしく想うからだろう。
もう既に濡れそぼっていた蜜口の奥はいつも以上にきつく感じた。
苦しそうに顔をゆがめているそれが、一層情感を増幅させて、
鳥肌が立つくらいの快感に打ち震える。
どうしてか、少しだけ、ほんの少しだけ
中がいつもと違う感じがする。
「狛治?」
「...っ....動くぞ.....」
悩まし気に眉を寄せる桜華が頷く。
可愛い
愛おしい
壊したい
俺の中に潜んでいる雄の本性が体の中で暴れだす。
どうしてだろう。今までも狂おしいほど愛していたのに
まだ先があるのかというほどに愛おしいという気持ちが込み上げてくる。
抱きしめたくなって桜華に覆い被さり
髪を
頬を
愛でつけるように撫でて見つめた。
「桜華...、桜華...」
名前を呼んでも足りない。
「好きだ...。ずっと.....。」
愛を伝えても足りない。
だけど、俺の声を聴いてる彼女は最上級の美しい女の顔で嬉しいと笑みを浮かべる。
「狛治...わたしも.......っ.....んんっ!」
言葉を囁き合い、交わすほどに互いが昇天するのが近くなる。
ダメだ...。
今日は、いつも以上に持ちそうにない。
「んん”!!はうっ!あっ...!」
背中に食い込む爪、
快感の証。
体も解ってるから一層愛おしさが奥から快感として込み上げてくる。
声が大きくなりそうなのはお互い様だ。
でも、聞かせたくないから
深く
深く
舌を絡ませて、力任せに抱きしめ律動を速めた。