第3章 無限城
1ヶ月も経った。
いろいろ考えすぎることが多く気がつけばあっという間の事だった。
ふと不振に思う。
「なぜ無惨様に呼ばれない?」
前回呼ばれて数ヵ月は経つ。
そろそろ無惨様の元に召喚されてもおかしくないはずなのに。
もし何らかの要因で俺が気づけずにいるのなら………。
いや、そんなはずはない。
無惨様はいついかなる時も監視の目を向けているのだ。
こうも甲斐甲斐しく人間の世話をする俺を放っておくはずがない。
童磨の件も前例としてはあるが、食す気もない女を養うという愚行に黙っていないだろう。
脳内が極めて静かであの男の気配すらないのだ。
切り離されているということだろうか。
仮にそうならば俺は死んだことにでもなってやしないだろうか
そんな考えが脳裏をよぎる。
桜華のことはどう話すか
そもそも思考が読めるからには無心で冷静に言われたことだけを答えればいい。
ただ自害寸前のところを条件反射で助け、気がすんだらそのまま返すとでもいえばいいだろう。
今夜は久しぶりに遠くへ出た。
もちろん鍛練の為。
そして、鍛練する場所を見つけて降り立つと
脳内が久しぶりのざわつきを感知するとともに、久方ぶりに感じた無惨様の気配。
思考から色も感情も温度も消えて、無の境地に至る。
いつもの事なのに
わずかな抵抗感がある。
「猗窩座、貴様、なぜ近頃交信が途絶えるのだ…」
「今すぐこちらに姿を晒せ」