第1章 unlucky men
翌日も、ニノは弁当を食べなかった。その翌日も、翌日も。一日一日と潰していく、カレンダーのチェックだけが増えていく。
ニノはそれだけ食べていないのに、痩せていく様子は見られなかった。
家に帰ってちゃんと食べているのなら良い。
けれど、もしそうだったとして、ちゃんとした栄養が取れているのか心配で仕方なかった。
——俺は一体、何なんだろうな。
ニノの兄気取りで、そのくせ何にも出来ていない。結局のところ見て見ぬふりをしているだけだった。自嘲する。
あれから、あの日に吐いていたのは何だったのか、未だに聞けていない。声をかけるのが躊躇われた。
普通の話でさえぎくしゃくしているような感じもした。それが気まずくなって、余計に喋らなくなってしまう。
悪循環の渦に沈んでいた。
今日の弁当も、ニノはついに、手に取らなかった。ぼんやりと焦点の合っていない瞳で卵焼きを見つめていた。
大野さんはもう、何も言わない。
松潤も、本当にダイエットだと信じているみたいだった。
相葉君は心配してくれるにはしてくれるけれど、ニノは決して、彼に弱みを見せなかった。意地という奴だろうか。
ニノは俺と目が合うと、自然に逸らすようになった。
俺が抱いている微妙な気持ちが伝わってしまったのだろう。
彼に目を逸らされる度に、すうっと、心臓の奥に冷たい北風が通り過ぎていくような、空しいような、気味が悪いような気になってしまう。
でも、今日こそ。
今日こそ、ニノに聞きたかった。
あの日の真相を。
ニノの中身を。
そのすべてを。