第1章 unlucky men
ブレスレットだった。
お礼も忘れて、思わず、はっと手に取る。
銀色のチェーンに、繊細な鍵のチャーム。チェーンは二重。
自分の手首に当ててみると、サイズはぴったり。シンプルなデザインだから、ライブの衣装にも合うだろう。勿論、普段着にも。
「……ありがとう、嬉しい」
「どういたしまして」
大野さんは朗らかに、いつものように、へにゃっと笑った。人を安心させる、暖炉のような、暖かな笑み。
「つけてみてもいい?」
「うん、勿論」
ブレスレットを巻こうとしたとき、膨れ顔の相葉君が、
「なに翔ちゃん、俺らのプレゼントよりよっぽど嬉しそうな顔しちゃって!」
断じて、そんなつもりではなかったのだ。大野さんのプレゼントの意外性に惹かれただけで。
「へっ?いやいや、ごめん、そんなつもりなんかじゃないって」
確かに反応に差があったのかもしれないな……と、慌てて弁明する。
すると、不満げだった彼の表情が、みるみる和らぎ、楽しそうなものに変わった。演技だったのだ。