第1章 unlucky men
差し出されたのは、比較的小さな、けれど綺麗に包装された小箱だった。
大野さんは、赤色の箱を両手で持っている。その姿は何かに重なる。
何だろうと思うと、ふと、心当たるところがあった。それを口にする。
「なんか、結婚指輪みたいな渡し方だね」
俺がそう言うと、彼も微笑した。
「開けてみて」
気が付くと、さっきまでわいわいうるさかった弟たちも、嘘みたいに、しんと静かにこちらを見ていた。
箱を丁重に受け取る。何重にも巻かれたリボンは、案外、さらさらと解けた。
箱の蓋に、手を伸ばした。
「……綺麗」