第1章 unlucky men
「ちなみに、迷彩は?」
「5枚!」
頭を抱えたい思いだった。
俺は確かに、極端に好き、という訳では無いが、迷彩柄は嫌いではない。
相葉君は毎回俺の誕生日のときには迷彩柄の下着を2枚混ぜてくるが、それは本当に2枚で充分なのだ。本当に。
職業柄、下着を見られることはよくある。その時に迷彩柄のパンツを履いているのは何だか気恥ずかしくて、プライベートの時だけしか履いていないのだから、当然減りも遅い。
だから2枚で充分だったのだ。
そういえば、俺の迷彩キャラを作ったのは、ニノだっけな。
彼の無邪気で悪戯気な表情が目に浮かぶ。
相手をいじり、けれど、決して嫌にはさせない優しさも。
胸が、また、ちくりと痛んだ。
頭がキンと冷えたようだった。
内心の動揺を悟られないように、笑顔で隠す。
「……ありがとう」
俺は嬉しいやら困惑やらごちゃ混ぜになった感情をセットにして、カゴにしまった。いい加減、気分を切り替えなくては。
「それじゃあ、俺が先で良い?」
次に言葉を発したのは、大野さんだ。
俺の内心とは裏腹、席はすっかり盛り上がりを見せている。
何々、と大野さんの手元を覗きこもうとした相葉君の頭をニノが掴んで、やや乱暴に引きはがしていた。ちょっと痛そう。
何故か松潤はその様子を撮影している。ちなみに大野さんは、彼等にはまったく目をくれていない。