第1章 unlucky men
「はい、翔ちゃん!中身は分かるよね?」
「……うん、もちろん」
これが当たり前のようにまかり通るのだから、面白いものだ。
ただひとつ、思うところがある。
俺の感覚だと、少し、違和感がある。
その感覚に頼って、恐る恐る——というのもおかしいけれど——尋ねた。
「相葉君、今回、何枚ある?」
「25枚!」
……やっぱり。
何となく、いつもより重いような気がしていたのだ。
下着の僅かな枚数の差を重さだけで分かってしまうというのは、中々恐ろしいもので、相葉君に見えないように苦笑した。
相葉君は、俺の誕生日の度に下着を買ってくれる。何故そうなったかは未だに謎ではあるが、毎回20枚程度なのだから、一年は確実に持つ。
そんなわけで、俺の下着は常に相葉君のものだ。……こういう風に言うと、なんだか誤解されそうだが、俺と彼は決して、そういう関係ではない。断じて。
枚数が増えているのはよくわからないが、それに準じて、心配というか気がかりというか、尋ねておかねばならないものが、ひとつあった。