第1章 unlucky men
俯いたまま、横目で大野さんを見る。
彼は、心配そうに、どうしたの?とでも言いたげにこちらを遠慮がちに見ていた。
ごめん、けれどこれだけは言えない。
松潤はメニューにご執心、何やらカロリーの計算でもしているらしかった。
そうだよ、こんなの、誰にも言えない。
さっきのニノの姿がフラッシュバックする。
あんまりに綺麗で、何というか、……エロかった。
ニノが女だったらあの場で何かしらのアクションを起こしていても不思議ではなかったくらい、綺麗で、色っぽくて、官能的で。
ニノが男でも、あと一つ、タガが外れていたら、もう分からない。
俺はもう、ニノのことをどう思っているのか、本当に分からなくなっていた。
初めにニノの不調に気付いた時のことを思い出す。あれは、ニノの足音と、ため息のつき方からだった。
確かにため息のつき方なら、メンバー全員、分かるかもしれない。
けれど足音ならどうだろう?全員分、判別できるのだろうか。
俺は普段から、そんなにニノのことを見ていたのだろうか?
それは、本当に、ニノへの「友情」だったのか?
頭が痛くなってきた。
最悪の考えを振り払うべく、出来るだけ頭を軽くしようとした。
この問題は、どうやら、骨が折れそうだ——どこか他人事で、楽観的な自分がいた。