第1章 unlucky men
しばらくぼうっとしていると、隣でぎしりと椅子が鳴った。
見ると、松潤が弁当を持ったまま俺の隣に座ったところだった。
顔には深山大翔がそのまま画面から出てきたような、無邪気、純粋な笑みが貼られている。それは詮索の笑みでもあった。
やっぱりと言うべきか、彼は座るなり弁当を放って、俺にぐいと顔を近づけてくる。
「翔くん、元気なさそうじゃん。何、どうしたの? 恋煩い?」
正直答えるのも面倒で、投げやりに呟いた。
「……まぁ、そんなところ、です」
また色々吐かされるのだろうなと思うと、身体から気が抜けたようだった。
ふうっと息を吸って、まだかまだかと詰問を目を閉じながら待つ。
けれど、いつまで経っても、松潤は何も言ってこなかった。
あんまりにうんともすんとも言わない。それで、ちょっと怖くなって。
恐る恐る、目を開ける。
目の前には、目を沈ませて、うってかわって、まるで無表情の彼が変わらずにそこにいた。
どういうことだろうと戸惑っていると、彼が、おもむろに口を開く。
「翔くん。嘘、ついてるよね」