第1章 unlucky men
『そっか、そんなことがあったんだね……翔ちゃんは悪くないよ、大丈夫、お疲れさま』
「大丈夫、で済めばいいんですけどなんか重症みたいなので。昔の俺みたいに」
『そっか、あのときの翔ちゃんも、過食嘔吐気味だったっけ。でも、今はもう治ったでしょ?』
「まぁ、一応は、ですけどね。これから再発するかもしれませんし……」
『大丈夫大丈夫。翔ちゃんが困ったら、また、俺がなんとかするよ』
何と打とうか考えて、ごろんと仰向けになった。
にこにこと頬杖をついて話を聞く大野さんの様子が、目に浮かぶようだった。
ニノに拒否されてから、どうしても1人で抱え込むことが出来なくて、熟考の末、大野さんにメッセージを送った。
彼ならきっと、俺には持っていない視点を持っている。
だから、ニノの嘔吐も、解決の糸口を見つけてくれるのではないか。
そんな一縷の期待を抱いていたのは、間違いない。