第2章 記憶
「せーんせ、せんせー?」
「つかなんで先生はここで寝てんのよ」
「…こーゆー人だ」
誰かに呼ばれてる気がする…
「てかせんせーめちゃくちゃ綺麗だよなー…」
「おいバカ、寝てる女性を触るなよ」
「俺は知らないぞ」
「あーー!ちょっと悠仁!僕の大事なに何してんの!」
あぁ…この声は…
「…悟?」
目を開けたと同時に悟の長い腕に抱きしめられる
「〜、僕任務頑張ったよ〜」
褒めて褒めてとボールを取ってきた仔犬の様に悟は私を見上げる。わざわざ目隠しをとってまで
悟の水色の瞳の中に私が映ってるな、なんてぼーっと見ているとなかなか褒めてくれない私に痺れを切らしたのか腰を引き寄せてきた。
「…っ!?ちょっと、みんないるんだけど」
恵は慣れているようで気にしていないが悠仁は顔を真っ赤にさせてこちらを見ている。野薔薇はうわ、と言うような顔をしていた。
「任務について来てくれなかった挙句、こんなに可愛い寝顔を晒したのに??ねぇ…今日はちゃんと」
「いや、任務は悟一人で十分でしょ。
それにどこで寝ようと悟には関係ないでしょ」
私は軽くあしらいながら悟の腕から抜け出す。
「ね!先生!明日暇??買い物行こうよ真希先輩も誘ってさ!」
悟が離れたと同時に野薔薇が私の腕に抱き着いて、そう言った
「…明日か。うん、いいよ!行こっか」
「よっしゃ、やりぃ〜!!」
野薔薇は悟の方を見て勝ち誇った顔をしている
あー…今日帰ったらめんどくさいな
でも、この日常が楽しいだなんて…
もし、ここに貴方がいたら…
重くなる思考を振り払うように私は歩き出す
あの日のように
隣に立つ貴方のことを思い出しながら
「じゃあ、また明日」