第2章 記憶
「私は悟や傑みたいに強い呪術師にはなれないよ
だって私は
呪いだから」
任務後、もっと手早くやれただろうと傑に言われ悟に問い詰められた。
廃病院内の壁に背を預けて蹲る私を2人は上から眺めているのを見なくても感じる。
私は呪霊のような存在なんだ、でも誰かを呪いながら死ぬのはごめんだ、だから
私が
私が誰のことも恨まず呪わずに死ねるように
私が望む死に方をするためにここにいるのに
むしろ私のことを殺さ(祓う)ないといけないはずなのに
「ねぇ……私が今すぐ祓ってって言ったら
2人は祓ってくれる??」
悟はサングラスが汚れたのかレンズを拭きながらこちらを見る。
傑くんは相変わらず笑みを崩さないままこちらを見つめている。
「……なんてね、今日は疲れてただけ。ごめんなさい、帰ろっか」
帳があける
身体の中で声がする
(呪え、呪えノロエ、のろ、え…)
この声に私は聞こえないふりをして立ち上がろうとする。
「悟、今日は桃鉄やるよ、寝かせないから覚悟しててよね!」
私は座ったまま悟を指さす
「…へー俺に勝てると思ってんだ??」
「2人とも程々にするんだよ?」
なんて笑いながら傑くんは私に手を伸ばし立ち上がらせてくれた。
背丈のでこぼこな影が並び歩き出す。
こんな日々が続けばと、私らしくもない願いをして