第10章 chapter10
ー月島side
歩が来たはずなのに一向に上がってくる気配がない
それどころか母さんと何やら盛り上がっている
歩に早く会いたいと思うけれど、彼女が僕の家族に悪く思われていないのは、それはそれでいい気分だった。
しばらくすると階段を上がる音
「蛍くん、入るよ」
ガチャ
ドアの方を振り返ると
!!!
「なにそれ」
「これ?蛍くんの服、お母さんに貰っちゃった」
「あの人…勝手に」
歩は上機嫌
ボクの白いパーカーを制服の上に着ている
全体的に少しゆったりしていて指先とスカートが少し出るぐらい
めちゃくちゃエロいかと言われるとそうでもない
っていうかこんな格好の女子高生どこにでもいるけど
僕のパーカーっていうのがダメ
彼シャツ的なやつ?
「このパーカーしまってあったみたいだけど、すごい蛍くんの匂いがする。お家の匂いなのかな?」
この人無自覚?
「ねぇ」
「え?」
「母さんは?」
「買い物に行くって出て行ったよ」
「そう、じゃあ誰もいないんだ」
ニヤリと笑うと彼女は意味を理解したらしく真っ赤になる。
「僕のパーカーなんて着て煽った歩が悪いからね」