第1章 chapter1
橘と出会ったのは4月
高校に入学して同じクラスになった
初めは背の高い美人ってだけの印象
いつも女友達に囲まれていて女のファンが多くて
面倒見のいい姉御肌って感じだった
例えるなら宝塚の男役みたいな?
特に絡みもなかったけど、何度目かの席替えで隣になった
俺が風邪で休んだ次の日 珍しく橘の方から話しかけてきた
「昨日大丈夫だった?これ、日本史と数学のノート、国見の分とっといたから、よかったらどうぞ」
「え、わざわざ?」
「だって一回抜けると訳わかんなくなるでしょ?」
そういって彼女はルーズリーフを2枚くれて、何でもないように授業の準備を始めた
え?…え?なにこれ…ドキっとした なんなの
何でこんなスマートなの?宝塚なの?俺のこと好きなの?
貰ったルーズリーフに目をやると痺れる程字が上手くて
鼓動が速くなる 授業の内容が頭に入らない
俺のこと好きなの?じゃない
俺、橘のこと好きなの?