第3章 chapter3
練習試合中 得点係を任されていた時
スコアをつけながら椅子に座っていると
雑巾を持った日向が横に立っていた
汗で濡れた床を拭くためにスタンバっているのだ
ここ数日で日向は凄く変わった
コートをじっと見つめる様子は普段の破天荒な印象と
真逆でゾクリとする
「コートの外からだと色んなことが見えるね」
急に真顔で振り向いた日向と目が合う
「橘さぁ 月島のこと好きなんだね」
「え…」
日向は雑巾を持ってコートに入っていった
私は全身鳥肌が立った。
うそ?私そんなに月島君のことばっか見てた?
仕事疎かにしてた?だんだん不安になってきた
マネージャーの仕事は平等にしてるつもりなんだけどな
空のドリンク容器を洗ってると日向が来た
「わりー、俺も手伝うよ!」
「あの…さっきのことなんだけど」
「あ、月島のこと?」
「声でかいからホント!しっ!」
日向の口を慌てて塞いで、声のボリュームを落として話す
「いや、何でわかったのかなって、私そんなに見てたかな?
仕事上の空だった?」
「いや、全然!みんなは気づいてないと思う。ここ数日なんか
目線でスパイクの方向とか直感で分かるってゆーか。
お前のもそんな感じ」
「直感かー!妖怪こわいよー」
「ちょ、誰が妖怪だ!でも何で月島?」