第10章 夢のあと
セツナを亡くしたあの夜から
リンが笑う事は無くなった
そんな彼女の事を
一番近くで支えたのは亮二の息子・アランだった
自身がリーダーを務めていた組織『刄鬽亂』を解散させ
『暁辰会』に入ったアランは
以来ずっとセツナの代わりにリンをいつも側で守ってきた
セツナの10回目の命日
墓参りに向かう前に
リンはアランに言った
『……今日は…1人で行く……』
「………1人…って………車は…?」
『……手配してある……もうすぐ迎えに来るわ……』
その時インターホンが鳴った
アランが出ると
モニターにはどこかで見た事のある若い男が映っていた
「……ボスを迎えに来ました……」
『………新しく入った構成員の田嶋よ……今日の運転手を頼んだの…』
「……」
リンが出て行ったドアが
重たい音を立てて閉まった
その瞬間
アランは弾かれたように走り出した