第5章 party
会場を出たリンは
エレベーターの脇で亮二と話しているセツナの姿を見つけ
そちらへ歩いて行った
「……どうした…リン…」
『…アノ人達も来たことだし…もう帰る……門倉のおじ様には挨拶してきた…』
ピリピリした雰囲気を察したセツナは
それ以上何も聞かずにエレベーターの↓ボタンを押した
「リンさん!待ってください!」
呼び止める声がして
仕立ての良いスーツを着た若い男が廊下を走ってきた
「…もう……帰ってしまうのですか…?」
『……ぁ……はい…』
「……残念だな……アナタと…もっとお話がしたかったんですが…」
『…すみません…』
「……あの……もし良かったら…この後2人でお食事でもしませんか?……帰りは僕の車で送りますので…そちらの運転手の方には先に帰って頂いて…」
その言葉を聞いたリンは
男を睨みつけた
『セツナは運転手なんかじゃありません!…では…急いでますので失礼します』
引きつった顔の男からプイと視線を逸らし
リンはちょうど到着したエレベーターに乗り込んだ
ドアが閉まる寸前
呆気に取られていたセツナも我に返って飛び乗る
2人を乗せたエレベーターが行ってしまうと
後に残された亮二は
立ちすんでいる男に肩をすくめてみせた