第4章 stray cat
「………信じられるかセツナ………あんなに父親の事を憎んでいるようだったリンが…ボスの為に…」
「……」
「……口では何を言っていても……リンは…父親を思ってる…………セツナ……オマエがこれまでキチンとあの子に寄り添っていたおかげだ…」
「……いえ……リンは……昔から何も変わっていません……小さな頃からずっと彼女は……ボスの事を大切に思っていた………俺は……勝手に取り越し苦労をしていただけだったんです…」
「……」
「………やっぱり……リンが側に居て欲しいと思っているのはボスなんですよ………俺は…何もしてやれない…」
「…………セツナ…………俺達が地下のライブハウスに着いた時……リンは開かないドアを泣きながら叩き続けていた…」
「……」
「……あの子は……自分の命を捨てる覚悟は出来ていたのかも知れない………でも……オマエを失うことの恐怖には……あの時…初めて気が付いたんじゃないか…?」
亮二の言葉に
セツナはゆっくりと顔を上げた
「……幼かったリンがどれ程オマエを慕っていたか…覚えているだろう…?……だからこそボスは…オマエに大切な娘を託した…」
「……」
「…安心しろ………オマエはもう…ちゃんとあの子の家族だ…」
セツナは大きく深呼吸すると
自分に言い聞かせるように
静かな声で言った
「……亮二さん…………俺…これからはもっとリンの事を信じようと思います………いつまでも…子供じゃないんですよね…」
「………フッ………セツナ………オマエはきっと…いい父親になるなァ…」
亮二の豪快な笑い声が
事務所に響いた