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aslan

第4章 stray cat




ライブハウスの階段を上がった所で
リンは震えながら立っていた

ゾロゾロと足音が近づいてくると
暁辰会の構成員達が慌ただしく車のドアを開ける

階段を上ってきた父親は
リンの方を見る事もなく
明けられたドアから車に乗り込むと
静かに走り去って行った

次々と上がって来た幹部達も
それぞれ車に乗り
帰っていく



亮二の姿が見えた時
リンは前へ出て声を掛けた


『…っ…亮二さん…!……セツナは…』


亮二は立ち止まり
リンの方へ顔を向ける


「……」


その瞳の中に冷たい光を見たリンは
震えながら後ずさった


『………う……そ……』


今にも泣き出しそうなリンの
真っ青な顔を見た亮二は
小さくため息をついて微笑むと
ゲンコツでリンの頭をコツンと叩いた


『……………?』


リンが振り返ると
構成員に肩を借り階段を上って来るセツナの姿が見えた


『……セツナ…』


階段を上りきった所で「ひとりで歩ける」と言ったセツナは
脚を引きずりながらリンの方へ歩いてきた


涙を浮かべたリンの前に立つと
セツナはバチンと彼女の頬を叩き
強く腕に抱きしめた


「…無事で良かった…」

『……セツナ………ごめんなさい……』



泣きじゃくるリンをあやす様に抱きしめているセツナの姿に
口元を綻ばせていた亮二は
乗り込んだ車の側に部下を呼ぶと
セツナへの伝言を頼み
その場を後にした









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