第4章 stray cat
『…セツナ?……セツナ!開けて!』
「…行け!早く逃げろ!」
開かないドアを力一杯叩いているリンに
セツナは叫んだ
そしてセツナは
ドアを背中に守るようにして
店内にいる男達を見渡した
どれくらい
時間が経っただろう
ビクともしないドアを
泣きじゃくりながら叩き続けるリンの肩を誰かが掴んだ
リンが振り返ると
そこには
亮二をはじめとした" 暁辰会 "幹部の面々
そして
それを率いる
" 暁 辰彦 "の姿があった
亮二が蹴り飛ばすと
大きな音を立てて金属のドアが外れた
床のそこかしこに
男達が倒れ
うめき声を上げている
店の奥に備えられた椅子に
相手側のボス" 張 劉毅[チャン・リュウイ]"が座り
その前では4人がかりで身体を押さえつけられているセツナが
後頭部に拳銃を突きつけられていた
辰彦は眉ひとつ動かす事なくゆっくりと部屋を横切ると
チャンの前に立った
「…何の用だ…」
「……チャン……私の娘が迷惑をかけたそうだな………すまなかった…」
「……」
「………どうだ…チャン……コレでおさめてくれないか…?」
チャンは辰彦を見
その後ろに立つ幹部達へ目をやった
恐らく建物の外には
大勢の連中が控えているであろうことを察したチャンは
セツナを押さえている男達に
手を離すよう目で合図をした