第7章 過去
「…な…何だよ!俺は親切心で…」
響也は倒れた男に馬乗りになり
何度も殴り続けた
「おい!やめろ!」
隆司が腕を抑えようとしても
響也は止まらなかった
隆司は響也にしがみつくようにして
2人の間に入った
「落ち着け!」
「離せ!」
「………ってぇ……」
男が体を起こすと
響也は隆司を振り払って立ち上がり
顔面に蹴りを入れた
「…許してくれ!俺が悪かった!謝るから!」
響也は
再び地面に倒れた男の腹を蹴り上げる
「……(ドカッ)………アイツも……(ドカッ)……そうやってオマエに……(ドカッ)………頼んだだろ………(ドカッ)………なのにオマエは……」
「響也!」
隆司は力ずくで
響也の体を抑えた
「……もうヤメロ………死んじまう…」
見ると
男は地面に横たわり血を吐いていた
「……二度と……俺達の前に姿を見せるな…………もし……次にオマエを見掛けたら………その時には………殺す…」
響也の瞳の奥に燃えるような狂気を見た男は
うわずった悲鳴を漏らすと
よろめきながら立ち上がり
走って逃げていった
響也は
近くのフェンスを思い切り蹴飛ばした
「………クソ!」
「……響也…」
「……隆司……アイツには…言わないでくれ…」
「………あぁ……分かってる…」