第7章 過去
3人は隆司の行きつけのパブで
軽く飲みながら食事をした
店を出た時
『……ね………私…そこの雑貨屋さんで買いたい物があるんだ………少しだけ……待っててくれる?』
「……あぁ…」
「……俺…一服してるから……ゆっくり見て来いよ…」
『ありがとう』
店に走っていくナナの後ろ姿を見て
1人の男が立ち止まった
「…ウソだろ………アレ…ナナじゃね…?」
響也と視線を交わした隆司が
男に話し掛けた
「………オニーサン……ナナの事知ってんの?」
「…あぁ……知ってるも何も……アイツ…俺が飼ってたんだ…」
男の言葉に
空気が張り詰めた
「……何?」
「………アレ?……アンタら……アイツの過去何も聞いてねーの?………ま……自分から言う訳ねーか…」
「……」
「……」
「……知らねーなら教えといてやるよ。…………アイツは……ガキの頃…親が2人とも事故で死んじまって…施設で育った。……そこで酷い虐待を受けて…16ン時に逃げ出したんだ。………で…行くあてもなくふらついてた所を…俺が拾った。…………フッ……最初は面白かったよ………アイツ……どんな事したって絶っ対に逃げてかねーから…………まぁ……逃げたって…どこにも行く場所なんかねー事…よく分かってたんだろ。…………でも……段々…何してもあんま反応しなくなってきて………それで…俺もつまんなくなっちまってさ………だから…段ボールの箱に入れて……ゴミ捨て場に捨ててやった。……………クスクス……その時……一緒にナイフも入れてやったんだ…………楽になれるようにって……俺からの…優しさのつもりだったのに…。………なーんだ………まだ…生きてたのか…」
響也は
拳を握りしめた
「……アイツ…髪も切っちまったんだな……あの長い髪だけが…汚ねーあの女の唯一の取り柄みたいなモンだったのに……………ま…コレで分かったろ?……悪い事は言わねーから…あんな女やめとけ………あんな汚れたの相手にしなくたって…アンタらなら他に幾らでも…」
言い終わる前に
響也は男の胸ぐらを掴んで殴りつけた