第6章 ある夏の夜※
着替えたナナの姿を見て
愛子は満足そうに頷き
隆司は目を丸くした
「………素敵……アナタなら絶対に似合うと思ってたのよ!…ねぇ…良いでしょ?隆司」
「…ウン…よく似合ってる…」
『……ぁ…』
「…今日のお礼に…私からプレゼントするワ…」
『……ぇ……いやいや…ダメです!…そんな…』
「…隆司……ナナちゃんのお仕事って…もう上がりでいいのよね?」
「……ぇ?……ぁ…ウン……そうだ…けど…」
「…これから用事も無いみたいだし…コレ着て一緒に出掛けましょーよ…」
『……?…え?え?』
「…すぐに車回して来るから…荷物持って外で待っててね……隆司!請求書は服と一緒に事務所に送って頂戴…」
「…ぁ…了解です」
愛子が店を出て行くと
焦った顔のナナに隆司がレジを閉めながら言った
「……ナナ……オマエ…愛子さんに相当気に入られちまったみたいだな…」
『どうしよ…店長〜』
「…悪ィな止めてやれなくて……アノ人…一度言い出すと聞かねーんだワ…」
『…そんなぁ…』
「…まぁ…どっかで軽く飯食ったら…家まで送ってくれると思うからさ…」
そんな事を話していると
轟くようなフェラーリのエンジン音が近づいてきた
「…ま……テキトーに…頑張ってくれ」
『…店長ぉ…』
大きなクラクションの音に飛び上がったナナは
荷物を掴むと走って店を出て行った