第6章 ある夏の夜※
8月のある夜
愛子は " ROTTY " にやって来た
愛子が社長を務める事務所に所属する新人バンドの
雑誌撮影用の衣装を見立てて欲しいとのことだった
隆司に具体的な希望を伝えると
2人は店内を見て回った
ピックアップした服を何パターンも組み合わせながら
イメージを煮詰めていく
ある程度方向性が決まり
数点の服が残ると
愛子はナナに
モデルとして試着してみて欲しいと言った
言われるまま着替えたナナが
フィッティングから出ると
2人は感嘆の声を上げた
「…すごく良いわ……イメージにピッタリ…」
「…じゃ……統一感持たせる為に…他のメンバーはコレと…コレにしようか?」
「……そうね……ナナちゃん……試着、お願いしてもいいかしら…」
「ハイ」
愛子の要望に応え
ナナは他にも何着か着替えてみせた
そして
全ての衣装が決まった
「ナナちゃんどうもありがとう……おかげでとっても助かったわ…」
『…お役に立てて良かったです…』
「……アラ……もう閉店時間過ぎてるのね……ゴメンなさい……もしかして…残業させちゃったかしら…」
『…大丈夫です……特に…用事も無いので…』
「……本当にありがとう………そうだ……ねぇ……最後にもう1着………コレ着てもらっても良いかしら………靴は……このミュールでお願い…」
手渡されたのは
レディースの商品の中でも特に女性らしいデザインをした
淡いブルーのシフォンワンピースだった
『…ぁ…ハイ…』
ナナは服を受け取ると
フィッティングへと向かった