第5章 笑顔の裏側
雅はサングラスの棚の前に行くと
何点か試着した後でひとつを選んだ
「…コレにしよっかなー……ナナ…どう?」
『…うん…似合ってる』
「ヨシ…決まり♪」
『…サングラス……私もバイト代出たら買おっかな…』
「…どれがいーの?」
『…ん?私がいいなと思ってるのは…コレ』
ナナは
かなりゴツめのデザインのサングラスを手に取ると
かけて見せた
『…どぉ?』
「ぅわ!イカツッ!…オマエさー…それじゃ怪し過ぎてオトコに声掛けてもらえねーぞ?」
『…別に……声掛けてもらえなくたっていーもん…』
「…年頃のオンナノコがそんな悲しい事言わねーの!…待ってろ!…俺、こーゆーの選ぶの得意だから…」
雅は
棚に並べられた中でも女性らしいデザインのサングラスを手に取ると
鏡の前のナナに掛けた
「……ウン………コレだな…」
『……』
鏡にうつった自分の顔を
ナナは食い入るように見つめた
「おー…何か……柔らかい雰囲気に変わったな……ナナ…スゲーいいよ」
少し照れ臭そうに微笑んだナナを見て
雅が隆司に言った
「…じゃ…会計お願いしま〜す♪……アレも一緒で…」
『え…ダメだよ雅!』
「いーじゃん…掃除手伝ってもらったりしてるから…そのお礼」
『そんな事言ったら…私の方がお礼しなきゃだよ…』
「んじゃ…そのお礼は今日の晩メシ付き合ってもらうって事で♪」
『…でも…』
「売上協力!…大事だよね? 隆司さん♪」
「ハハハ…」
「気が向いたら使ってよ…ね?」
雅の押しに負けたナナは
『ありがとう』と言ってサングラスを受け取った