第5章 笑顔の裏側
「……まぁ……気になるよな…」
雅はコーヒーの器具を準備し
湯を注ぎながら話を続けた
「………ホストの仕事は……人によってポリシーとかこだわりとか色々あるんだろーけど………俺が思うのは……まぁ…簡単に言うと…女の人相手に酒飲んだり会話したりして……その人に幸せな時間を感じてもらう仕事…かな。……………でも……オマエが聞きたいのはそんな事じゃないんだろ?」
『……』
「……相手の女性と身体の関係持ったり……そこまではいかなくても…際どい事したり……そーゆーのも全く無いとは言えない…」
『……』
「………でも……ほとんどの奴は仕事だってキッチリ割り切ってるよ。……だから…ちゃんと本命の彼女が居たり……結婚してるホストだって居るしさ………本命の相手の方も…愛されてるのは自分だけって分かってれば…不安になる事もない。………ようは考え方次第なんだ…」
『……』
「………ケイさんは…男の俺から見ても格好いーし……店でもトップクラスにモテるから…心配になる気持ちも分かるけど………プライベートな時間を一緒に過ごしてるのはナナだけなんだし……本命は自分なんだって考えて…割り切れないかな…?」
『……本命…?』
「…そーだよ。……だって…付き合ってんだろ?2人は」
ナナは俯いて首を横に振った
「……ぇ…」
『……響也は……私とは付き合ってないよ。…………私の事……女の人として見てないと思う…』
「……チョッット待って!……それじゃ…ナナは……あの人からどんな風に見られてると思うの?」
『……ゴミ置き場に捨てられて………傷だらけで…震えてたのを………可哀想だから…拾ってあげて………しばらくの間…一緒に住むことになった……ペット…』