第5章 笑顔の裏側
部屋に戻ると
雅は湯を沸かし
パスタの準備を始めた
そして
20分後
雅の明るい声が響いた
「ナナちゃん♪もーすぐ出来るよ♪」
ナナがキッチンに行くと
雅がパスタを皿に盛り付けていた
「いまサラダの取り皿出すから……コレ…先にテーブルに運んでくれる?」
雅はそう言うと
カウンターの上にパスタの皿を2つ乗せた
『……ぇ…』
「……へへ……なんか俺も食いたくなった…」
雅につられて
ナナも笑顔になった
2人は
ダイニングテーブルで向かい合ってパスタを食べた
雅の話が楽しくて
ナナは何度もお腹を抱えて笑った
食事が終わると雅は
コーヒーを入れると言って席を立った
空いた皿をキッチンに運び
手早く洗った後
雅は湯を沸かし始めた
ナナは
キッチンのカウンターに肘を置くようにして寄りかかりながら
テキパキと動く雅の手先を見つめていた
グラインダーで豆を挽き終わった時
それまで黙っていたナナが口を開いた
『…雅?……雅のお仕事って…どんなお仕事なの?』
「…?……ホストの仕事って事?」
『……ウン…』
「……」
『……ぁ………変なこと聞いてゴメン…』
「ううん…別に謝んなくていーよ………フッ……やっぱ気にしてんだ…さっきの…」
『……』