第5章 笑顔の裏側
愛子はマンションの正面に車を停めると
2人の方へ歩いてきた
車と同じ真っ赤なネイルと口紅
ゆるくウェーブがかった栗色の髪からは
甘い香水の香りがした
「…雅ちゃん……おはよ」
「おはようございます♪どうしたんスか?」
「急に仕事のスケジュールが空いたから…ケイとランチでもしようと思って迎えに来たの……もうすぐ降りて来るわ…」
「あー…そーだったんスね」
愛子はナナの方に視線を向けると
上から下まで舐めるように見回した
「……アラ♡……ずいぶんカワイイ子連れてるじゃない……新しく入った子?」
『……ぇ…』
「初めましてよね?何曜日に出てるの?」
『…ぇっ…ぇっ…』
「…愛子さーん……彼女…驚いてまーす」
「…ヤダ!……アナタ…オンナノコだったの⁇……ゴメンなさい…私てっきり…」
「………ハハ………アハハ……」
「ゴメンなさーい!…ホントに悪気は無かったのよ……許して頂戴ね…」
『…ぁ……全然…大丈夫です…』
その時
マンションの自動ドアが開いて
ラフな格好をした響也が出てきた
「…何だ…オマエら一緒だったのか……いま連絡しようと思ってた。……チョット出掛けてくるから…雅……後頼むな…」
響也は
雅の肩をポンと叩いた
「ラジャーです!ケイさん!」
「愛子さん…お待たせ」
「おはようケイ…じゃ…行きましょ」
2人はフェラーリに乗り込むと
音を立てて走り去った
『…………綺麗な人…』
「……あの人……ケイさんのお客さん……良い人なんだけど………チョット……目が…悪ィのかな……ハハ…」
『……』