第4章 朝日
響也が着替えている間に
雅はテキパキとコーヒーを入れ
2人分の朝食を作ってくれた
ダイニングテーブルに座って目を丸くしているナナに
響也は朝食を食べながら言った
「…今日はこれから仕事なんだ……帰りは夜中になると思うけど…大丈夫か?」
『…ぁ……ウン…大丈夫だよ』
「…雅はやる事終わったら勝手に帰るから…ユキは自由に過ごして……ぁ…コレ…渡しとく…」
響也はそう言うと
合鍵と小ぶりの財布をナナの前に置いた
「……美容院行ってくれば?…知り合いの店で良かったら予約入れとこうか…」
『……ぇ……いいよ………せっかく響也が切ってくれたんだし…』
「…シロートが切ったから…よく見るとガタガタだぞ………ったく……もー少し長さ残ってりゃボブでごまかせたのに……オマエ…ガッツリ切りすぎなんだよ…」
『…いーの!…すごく気に入ってるもん…』
「……クス…」
響也は立ち上がると
ナナの短くなった髪をクシャクシャに撫でた
「…じゃ…行ってくる…」
『…ぇっ……あ……ウン……行ってらっしゃい…』
響也はキッチンにいる雅に声を掛けた
「…雅ー……あとよろしくな…」
「…アレ?…ケイさん早いっスね…」
「んー…ボスから電話あった」
「呼び出しかー……ハハッ……まぁ…クリスマスに当欠したら…そーなりますって」
「……だよな…」
「…し・か・も♪…体調悪いって言って休んだのに…彼女と仲良く過ごしてたなんてボスにバレたら…」
「バレたら?」
「ひっ…」
「…どーなると思う?雅…」
「…ケイさん……ぉ…俺……誰にも言いませんって…」
「だよな」
響也は雅の肩をポンと叩くと
玄関へ向かった
そして
見送ったナナに笑顔を見せると
響也は出て行った