第2章 shopping
隆司はナナを手招きすると
一緒に店内を回った
「…試してみたいのがあったら…ドンドン言って…」
『……ハイ………ぁ……コレ……がいい…』
「……ウン…後は?」
『……コレ……と…コレ…』
「…こーゆー感じが好きなのか……ウン…良いね……そしたら…コレもチョット着てみてよ……それとコレ…」
『…ぁ…ハイ…』
「じゃ…フィッティングこっちね…」
フィッティングのドアを閉めると
隆司はカウンターで俊太の入れたコーヒーを飲んでいる響也の向かいに座った
「…どうしたんだよアノ子……顔にアザとかあったけど…」
「…んー……ちょっと訳アリ…」
「…?…」
「…昨日…夜中に帰ったら……ウチのマンションの近くのゴミ捨て場の所で…段ボール箱に入れられててさ…」
「…ぇ…」
「……雪ん中……身体中…傷だらけで……震えてた…」
「……ひでぇな……何だよそれ………警察には…?」
響也が首を横に振った時
フィッティングのドアが開いた
細身の黒いパンツにラバーソール
柔らかな素材のシャツをピンストライプのベストに合わせ
細いネクタイをしているナナを見て
隆司は微笑んだ