第4章 友達
目を覚まして一番に見えたのは、驚くほどに真っ白な天井だった。
あたしは寝ころんだまま何度か目を瞬かせる。
―ここ、どこだっけ。
どうしてあたしはこんなところに…。
そして何気なく隣に視線を向けてから、あたしは慌てて飛び起きた。
──あの子がいない…!
「ジョナサン!」
「赤子なら隣でうちの海兵が面倒見てるよ」
思わぬところから声が聞こえて、危うく悲鳴をあげそうになる。あまりにも静かだったもんだから、あたし、てっきり1人だと。
動揺を隠してなんとか振り返ると、ベッド横の椅子に1人の老齢の女海兵が座っていた。
歳はたぶん70代くらい。
白髪を後ろで束ねている。
「海軍…?」
「私は、海軍本部中将、つると言うモンだ。ほんの数時間前、アンタを保護したんだよ」
ますます状況がわからない。
どうして海軍なんかが、あたしを…?
いや、その前に。
「中将!?」
あたしは思わず声をあげてしまう。そして、うろ覚えの階級制度を一つ一つ指折り数えてみた。
中将といえば、海軍の中でも相当上の階級じゃなかったっけ。
確か階級で言うと、トップに元帥がいて、次が大将でしょう。で、その次が中将…?
あたしは混乱しながらまじまじと目の前の女海兵を見た。本当に、そんな人がなんであたしの前に。
あたしが全く状況を理解していないことを悟ったのか、女海兵は一つため息をついた。
「久々の里帰りだったんだがね。帰り際に胸糞悪くなる事件に出くわしてしまったよ」