第24章 暴走
あたしは覚悟を決めて、背後を振り返る。
だめだ。戦わせちゃ、だめ。
これ以上は。……本当に彼を失ってしまう。
「フッフッフッ…」
ローをこんなふうにしたであろう元凶の男は、さも愉快そうに笑った。男の方も、派手な服に隠れてはいるけれど、体の至るところにひどい傷があった。決して無事とは言い難い様子なのに、微塵も気にする素振りはなく、勝ち誇ったように口を開く。
「これで"D"が神の天敵とは笑わせる!!Dの一族とはこの程度か!」
..."D"?神の天敵??
何を言ってるのか分からないけど、問いただすほどの余裕はない。
勝てないことは、じゅうぶん分かってる。
だけど、後ろの人が諦めない限り、退くわけにはいかなかった。
あたしは全神経を集中してドフラミンゴの出方を伺う。指の先の僅かな動きも、見逃せば致命傷になる。それが分かっているだけに、下手な攻撃はできない。
警戒するあたしに構わず、ドフラミンゴは悠々と話しかける。
「…おれはなァ、ロー。10年前にこの国をぶっ壊したやり方が割と気に入っているんだ。愛する者をその手で殺し、信頼していた者に殺されるってのは、痛快な見世物だと思わねェか?」
そこで一度言葉をきり、下唇を舐める。
「ここまでおれを追い詰めた褒美だ。……お前にも同じ苦しみをやろう」
ビリビリと。
皮膚が痺れるほどの圧迫感。
サングラスの奥の目があたしを見つめている気がした。
「───命令だ。ローを殺せ」