第23章 ゲーム(Ⅱ)
コアラは身軽に近くの船の甲板に駆け上がり、サボが炎にとなってそれに続く。だけど、
「あ、そうだ」
何かを思い出したように呟いたかと思えば、なぜか、また、あたしとロビンのいる通路に戻ってきた。
「サボくん!!」
「分かってるって」
コアラの叫びに軽く返事をして、あたしの目の前に降り立ったその人は、徐に口を開く。
「忘れてた」
「なにを?」
「お前、ビブルカード持ってるか?」
「え??……っと」
あたしはその単語をどこで聞いたかを思い出しながら、ポケットの中から小さな紙きれを取り出す。サニー号でナミに渡されたものだ。
ビブルカードって、これのことよね?
ローもナミも確かそう言っていた。
渡されたから受け取ったけど、そう言えばこれって一体何なんだろう。ただの紙にしか見えないけど…。
改めてじっくりとその紙切れを見つめていると、サボはあたしの手の中からさっとそれを抜き取った。
「これ欠片か?なら、もらっていく。お前にはまた会った方がいい気がする」
「ちょっ、そのカードは…」
預かったものだから、あたしのじゃないんだけど!
そう言い切る前に、サボは再びひらりと近くの船の甲板に飛び乗る。
「ねぇ!待ってよ…!!」
「じゃあな。それから…これは忠告だが、お前、絶対あの男には掴まらねェ方がいいぞ。苦労するのが目に見える」
「人様の事情に口出さないの!!サボくん、ほら、行くよ!」
「ちょっと待ってってば!それはあたしのじゃなくて!!……って、人の話聞きなさいよーー!!」
あたしの叫び声も虚しく、サボとコアラは颯爽と船を渡ってフロアから消えてしまったのだった。
「ウフフ」
一連の様子を見て、相変わらず楽しそうに笑うロビン。あたしといえば、彼の自由奔放さにただただ呆然とするしかなかったのだった…。
第23章 『ゲーム(Ⅱ)』 <END>