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マリージョアの風【ONE PIECE】

第20章 遺書




今、自分の見たものが本当に現実のものなのか疑いながら筆を執っております。


夢なのではと何度も頬をつねりました。しかし嬉しいことに、今私の頬はじんじんと熱く、痛みを感じるのです。

どうやらこれは現実のようなのです。


ああ、今までこれほどまでに心の底から嬉しく思えたことはあったでしょうか。


こんな日が来るなんて思ってもいませんでした。──まさか、あの方が海兵として、この場所に来られるとは。




暫し感動に浸りたいところですが、残念ながらあまり時間はありません。本当に残された時間が少ない。


ですから、今急いで部屋に戻ってまいり、机に向かっております。どうしてもこれだけは書き記しておかないといけませんから。



お嬢様がどのようにしてこの世に生を受けたのか。どうしてここで育ったのか。


そして、お嬢様がドンキホーテ家の血を引いていること…──彼女が間違いなく、旦那様と奥様の子であるということについて。


過去も真実ももみ消され、都合の良いように塗り替えられるこの世界で、それだけは誰かが彼女に伝えなければなりません。そもそもは、そのために筆をとったわけですから。






──さて、お嬢様のことを記すと言いながら、私はこれまであえて肝心なことに触れてきませんでした。いつ誰に読まれるか分からなかったからです。


ですが、レヴェリーの開幕直前にして、とうとう伝えなければならない人が現れました。



きっとこれが運命だったのでしょう。
あの人に再会した時、私は自分の運命を悟りました。


つらつらと書き綴っていただけのただの紙束に、とうとう題名を付ける日がきたのです。



これをあの人に託し、私は自分の使命を全うすること。それがお嬢様にして差し上げられる最後のことです。





お嬢様に関する──私が知る限りのことを書き記します。




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