第18章 誘拐
「ナミ屋、さっき渡したビブルカードを持ってるか」
「ええ。もちろん」
「なら、コイツとシーザーを連れてお前らは先に次の島へ行け」
「おい待て。ロー、お前はどうするんだ」
サンジくんが口を挟む。
「ドフラミンゴと橋の上で一戦闘り合えばお前らを逃す時間稼ぎぐらいは出来るはずだ。海軍までは難しいかもしれないが…。悪いが、そっちに行った時はお前らでなんとかしてくれ」
「ここには海軍まではいやがるのかよ…」
「あぁ、大将がな」
「「「大将!?!?!?」」」
じょ、冗談じゃない!!確かにアウラが海軍がいるとは言ってたけど、あんた、大将とドフラミンゴ相手にシーザーを連れて闘ってたの!?
なんつーデンジャラスな戦いしてきてんのよ!!
そう言われて今よく見てみれば、トラ男はあちこち傷だらけだった。痛そうな素振りは一切見せないけど、血の量からして絶対軽症じゃない。肋ぐらい折れてんのかも。
「あんた、本当に大丈夫なの」
「…お前らが船を出すなら、まだ勝機はある」
──なるほどね。
それを聞いて、トラ男の言いたいことはなんとなく理解した。
少し息を吐く。
シーザー、アウラに、そしてモモくん。こっちの方が圧倒的に人数が少ないのに、相手と奪り合うカードが多すぎるんだわ。しかも、シーザーは最悪奪われても振り出しに戻るだけだけど、後の二つはこっちも絶対に譲れないカード…。
アウラとモモくんの存在を知られる前に工場破壊が出来れば良かったのだけど、それにはまだまだ時間がかかりそうだし。3つのカードを守りながら作戦を続けるのは、私たちにとってどう考えても部が悪い。
──つまり、簡単に言うと、余裕がないから早く連れてけってことね。
「あーーもう、分かったわ!この子は預かるから、あんたも用が済んだらウチの仲間引っ張ってくるのよ!!」
「あぁ、約束する」
トラ男が頷く。
──この男のこと、あんまり信用してなかったけど。
その目を見返しながら、漠然と思う。
…どうしてかしらね。この人がそう言うなら、何があっても仲間を連れて戻ってくるような気がするのは。
きっと、この男は一度約束したことは必ず守る。
信じてもいいような気がした。