第17章 岐路(Ⅱ)
「と、とにかく!あたしはこのまま帰るわけにはいかないの!!好きでもない人と結婚するなんて、絶対イヤ!」
決意を込めて拳を握りしめると、ローは笑みを引っ込めて、今度は何故か複雑そうな表情をした。相変わらず感情に乏しいからそう見えただけかもしんないけどね。
そして、よく分からないことをぼやく。
「そうは言うが……つまらねェ男に身体を許すくらいなら、そっちの方がいくらかマシだったろう」
……………………ん?
なんの話?
思わずきょとんとローの顔を覗き込むと、彼は言いにくそうに視線を逸らす。
「…お前、どうやってここまできた」
どうやってって。
それ、さっきウソップにも聞かれたけど。
いろんな船に乗せてもらって。
たまに色仕掛けもしたりなんかして。それで…。
…んん?
「ちょっと待って、ロー、今なんて?」
カラ、ダ…?
今、身体って言った!?!?
それって、つまり。
「………っ!!!ち、ちちち違う!ロー、勘違いしてる!!」
思いの外大きな声が出てあたしは慌てて口を押さえる。
深夜だということを忘れてた。
みんなが起きちゃったらどうしよう。
だけど!!
だけどだけど!!!
なんつー想像をしてんのよこの人は!!!!
しんっじらんない!
ゾロに詰められた時、ローの態度が不自然だなと思ったけど、そういうことだったのね…!!
「一時期ガールズシップに乗ってたのは確かだけど、ローが思ってるようなこと、あたししてないの!!」
──つまり、あえて言葉を選ばず言うと。
この人はあたしが、このあたしが!
海を渡る手段として、男に身体を売ってたんだと!
そう思っていたのよ!!!!