第2章 旅立ち
am7:30。快晴。
「シスター。じゃ、夕方に港で待ち合わせね。ジョナサンをよろしく」
昨日は寝坊したけど、今日はばっちり間に合う時間に起きた。さすが、人間は学習はするもんだ。ふふん。
あたしは機嫌良く、朝ごはんにパンを一つ取ってそのまま家を出た。
船が出るのはどうせ夕方だし、それまでの間、あたしは今日もひと働きすることにしたのだ。出航の時間までに、シスターがジョナサンを連れて港まで来てくれることになっている。
稼げる時に稼いどかないとね。
お金があって困ることはないから。
歩きながらパンを一口かじる。
固くてパサパサの生地。
ふわっと香る酵母の香り。
慣れ親しんだ味がした。
今朝は早起きして、持っている中で一番大きなリュックに必要なものを全部詰め込んだ。そもそも私物が少ないからあんまり詰めるものはないんだけど。
男用の着替えは今着てるのも含めて3着しかないから全部持っていくことにする。それと、ミドル王国の地図。
わずかだけどパール島まで行って帰ってくるにはぎりぎり足りるくらいのお金と、ジョナサンの着替えと粉ミルク。
前に港でおっちゃんがくれた小型ナイフもリュックの奥に仕舞い込む。必要ないかもしれないけど、ま、護身用ってやつだ。
そして最後に、最近ローが載った世経をリュックの側面に突っ込んだ。
別に持って行かなくてもいいけど。
1週間も旅をするのは初めてだから。
なんとなく、力になってくれるような気がして。