第11章 疑惑の研究所
さ、寒い。
こんな状況で思うことじゃないのかも知れないけど、とにかくめちゃくちゃ寒い。
だってあたし、キャミソールにジャケットを羽織ってるだけだし、なんなら足元はショート丈の短パンなのよ。
間違っても、こんな雪の降る極寒の地でする格好では無い。
──それに。
あたしが凍えてる理由の8割はこれのせいなんだけど。
「…満足か?」
「え?」
「おれを苛立たせて満足かって聞いたんだ」
冴え冴えとした目であたしを見るお方。
眉間に皺を寄せ、舌打ちしてから、
「ビビらせやがって…」
と吐き捨てるように言う彼──トラファルガー・ローは、今、雪の上にペタリと座り込むあたしに、とてつもなくご立腹なのだった。
辺りに散らばるのは海兵たちの無惨な屍。
あぁ失礼。
彼の能力だから死んではないんだっけ。
まあとにかく、真っ白な雪の絨毯の上には、戦闘不能になった海兵たちが累々と横たわっていた。
そして、それをやった当の本人は周りには目もくれずただひたすらあたしにガンを飛ばしている。
まさに、不機嫌中の不機嫌。
自分で言ってるしね、苛立ってるって。
…あぁ、寒い。