第10章 再会
「ロー!!!!」
思わず叫ぶ。
一気に心臓が冷えた。
あたし、ローの不利になることをしたかったんじゃないのに!!ローが負けてしまうなんて、そんなの想像もしなかった。
蒼白になってぎゅっと手を握る。
どうしよう。どうしよう。どうしよう。
あたしが出て行ったことで、ローに隙ができてしまったのなら──。ローが、やられてしまったら──。
だけど、そんなあたしの焦りと心配をよそに、ローは不敵に笑ったかと思うと、次の瞬間には難なく中将の一手をかわした。
──そこからは怒涛の展開だった。
心なしか、さっきまでよりローの動きが速く、そして滲み出る殺気も数段鋭さを増した気がした。
スモーカー中将の十手が地面に突き刺さって大きな穴が開く。
と同時に、ローは一瞬で中将の背後を取ると、能力を発動し、海軍船を操って、中将目掛けて畳み掛けるように墜落させる。
そして。
手に汗握る、竜虎相搏の戦いの末──ローが中将の心臓を掴み取り、彼の戦意を喪失させた、後。
ローは、雪の上で呆然と座り込むあたしに目を向けて、一言。
「───お前はおれを殺しに来たのか」
そう言ったのだった。
──故郷を思い出させる、辺り一面の銀世界で。
ずっと追いかけていた人に。
ずっと会いたかった人に。
再会したの。
第10章 『再会』 <END>