第10章 再会
船室を出て階段を登るに連れて、だんだんと声が大きくなる。
それに加えて、ドタドタと誰かが走り回る音と、あとこれは…歌声??
…そんな愉快な展開になっているんだろうか。
「いや、いやいや。歌う展開って何!?こんな不気味な島でどうしてそんなコメディが繰り広げられてるの!?」
思わず声に出してツッコんでから、あ、とあたしは閃いた。
「…もしかして、麦わらの一味がいたのかな」
だって、ビビが、彼らはどこまでも楽天家で、愉快な人たちだって、いつかそう言ってたもの。この騒ぎ声も彼らが原因なんだとしたら。
万が一、そうだったとしたらどうしよう…?
ここで海軍を振り切って、麦わらの一味について行くっていう手もあるんだよね。彼らがそれを良しとしてくれたら、の話だけど。
あたしはいろいろ思いを巡らしながら、階段を登る。
だんだんとワクワクしてきているのが自分でも分かった。
ビビの友達だって言うのはもちろんあるけど。
それよりも、電伝虫から聞こえてきた声から、あたしは麦わらのルフィ自身に興味が出てきていたの。
ローと同じ最悪の世代ルーキーの、彼に。
──ドアを開く。
「さっむい…っ!!」
さっきまで暖かい船室にいたから、外の寒さが肌に染みた。
吹きつける大粒の雪がみるみるうちに体から温度を奪っていく。
あたしは思わず自分の肩を抱くようにして縮こまった。
そして、凍えながらゆっくり船べりに近づいて──。