第9章 マリージョア
「お前、ソレをどこから拾ってきた…!!」
別の声だ。さっきの男の人とは別の声。
顔は見えなくても、狼狽えているのが分かる。
目を開けると、今度は周りがはっきり見えた。
瞬きをする。それも感じる。
あたしはさっきまでの訳の分からない空間を抜け出したのを感じて、ほっと息をついた。
よかった。
息ができなくて死んでしまうかと思った。
──あそこは何故か、とても怖かった。
目をパチパチさせながら、とりあえず声を出した人を確認しようと考える。さっきまで何も見えなかったからね。瞬きすら嬉しい。
そこで、あれ、なんかおかしいぞ、と気づいた。
だってあたし今、どこにいる?
──おもむろに上を向くと、巨人がいた。
巨人がいて、そして。
あたしは、今、その巨人に抱きかかえられているのだった。