第7章 最悪と最善
ちらとマリーを見てみる。
今度は薄く目を開けていた。
今は暗くてあんまり見えないけど、確か彼は透き通ったグレーの瞳をしていた。
光の加減によって薄紫色にも見えて、後になってラベンダーなんて名前でもよかったかもと思ったりした。結局それも嫌がりそうだけど。
そんな彼も、ここ数日は口数が少なく、必要以上にしゃべろうとしない。
以前はよく言っていた憎まれ口も最近はあまり聞かなくなっていた。
…やだな、急に心配になってきた。
こんな状況はあたしだって初めてだけど、空腹には人より慣れてるつもりだし、実際、まだ我慢の限界ってわけじゃない。
だけどマリーは?
さすがに身にこたえてるのかも。
だってあたしの予想じゃ、彼、いいとこのボンボンなんだもの。
「マリー、大丈夫?悲観的になるのはわかるけど、もすこしポジティブに考えよう。ほら、いつまでもこんな状況が続くわけないし。明日には着くかもしれないよ」
必死で元気づけようと思いつく限りの言葉を並べてみる。
マリーは急に話し始めたあたしに驚いたようで、目をぱちくりさせてこちらを見た。