第7章 最悪と最善
「なぁ、これ本当に向かってる…んだよな」
どこに、なんて言わなくてもわかる。
ナーティの言葉に一応うなずいてみるけれど、あたしもすっかり自信がなくなってしまってるから、返事に力が入らない。
頼みの綱のマリーに目を向けても、当の彼はじっと目をつむったまま。起きてる、と思うんだけど。
あの決死の"エターナルポースすり替え作戦"からさらに1ヶ月が経った。
海賊船は順調に航海を続けていて、今のところ疑われはしていないようだった。
そう、それはいい。それはいいんだけど。
「このままじゃ、アラバスタに着く前にアタシたち気が狂っちまうぜ」
ぼやくナーティ。
これにはあたしも反応に困ってしまう。同意はしたくないけれど、かと言って、そんなことないと強く言い切れないのも事実で。
結局、「うん」とも「いや」とも言えず、代わりに一つため息をこぼしたのだった。
かれこれ1ヶ月、この船はどこの島にも停まっていなかった。
そりゃそうだ。あたしたちがアラバスタのエターナルポースにすり替えたんだから。
針は向かう先、アラバスタただ一点を差し続けているはずで、だから、他の島になんて停まりようがなくて。
「ほんとに。こんなに遠いなんて思わなかったな」
ぽつりつぶやく。