第6章 海賊
マリーの手の中のコンパスを見て、アラバスタってどんな国なんだろう?なんて。そんな何でもない話をしている時だった。
──"それ"が起きたのは。
ドオオォォォォォン!!!!
突然の轟音。
そして、地震かと思うくらいのとてつもない揺れ。
「う、わぁっ!」
あたしはバランスを崩して思わず目の前のマリーに手を伸ばしてしまう(ちょうどそこにいたから!)。
マリーは動揺したあたしをしっかりキャッチするとそのまま地面にしゃがみ込んだ。
「何事…んぐっ!?」
そして、問答無用であたしの口を手で覆い、後ろに下がって物陰に身を潜める。マリーの行動は慣れた一連の作業のように躊躇いなく、かつ俊敏だった。
しばらく物陰から様子を伺った後、彼は今までになく真剣な声音で短く呟く。
「海賊だ」
頭のすぐ上あたりで聞こえる声。
言われて、やっとあたしも事態を理解した。
突然の揺れ。喧騒。
──襲われたんだ。
この商船が、海賊に……!