第4章 友達
青年の顔をじっと見る。
キラキラ光る金色の髪が目に入った。
こういう花あるよね。
花の方はもうちょっと濃い色だけれど。
黄色の。素敵な。
あたしの大好きな教会の花だ。
「マリーゴールド。うん、マリーにしよう」
青年は怪訝な顔をした。
「それって女の子の名前じゃないの」
「あなたが何でもいいって言ったんじゃない。綺麗な顔してるし、マリーって名前似合うよきっと」
強引に押し付ける。
うん。気に入った。
一人満足気に頷いていると、青年はしばらく嫌そうな顔をしていたけど、やがて小さくため息をついてその名前を承諾した。
「仕方ないな。確かに何でもいいって言ったしね」
天竜人を見て悪趣味だと言った彼。
ずっと遠くからやってきて。
名前は無いらしい。
「マリー、あたしたちきっといい友達になれると思うんだけど、どう思う?」
ふと思ったことを聞いてみる。
目の前の青年は少し驚いたようだった。
そして、考えるように目を伏せて、ややあって意味深に笑ったのだった。
「───友達、悪くないね」
第4章 『友達』 <END>