第7章 不安
リサ side 続き
サトルのマンションは
広い公園を通り抜けた所にあった
公園に足を踏み入れた時
それまでずっと黙ったままだったタクミが笑いながら言った
「…ハハ……何だよさっきの。…変な奴だったな…」
『…ウン…』
「サトルさんも大変だよなー…芸能人だからってあんなの相手にしなきゃいけないなんて…」
『……ウン…そうだね…』
「リサも気にすんなよ!…あんな奴の言う事なんて…どーせ誰も信じないからさ…」
『……ウン…』
「………マジで…馬っ鹿みてーだよな! ……サトルさんがオマエとなんて……そんなの…」
そこまで話した時
タクミが急に足を止めた
繋いだままだった手に
力が入るのを感じた
「………嘘………だよな……?」
細く
掠れたようなタクミの声に
私は何も答えられなかった
「……リサ………嘘だ…って……言ってくれよ……」
『……………タクミ……ゴメ……』
「……っ…」
震える声を遮るように
タクミは私の身体を抱き締めた