第7章 不安
リサ side 続き
私が何も言わずにいると
黒川というその男は更に続けた
「…アナタは彼の従姉妹だと聞いたのですが……その話が…どうも嘘なのではないかという噂がありましてね…」
『……』
「…彼女は間違いなくサトルさんの従姉妹ですよ……ウチのオーナーも…他のスタッフも皆知ってます…」
「…でも……本当にそうなんでしょうか?」
黒川は私を真っ直ぐに見据えたまま
静かな声で言った
「……真山さんの親戚関係に"杉本"という名字の人間が見当たらないんですよ……どういう事なのか教えて頂けませんかね……"杉本" リサさん…」
『……』
「………ダンマリでも別に構いませんよ……真山さんが親戚でもない女子高生と同棲してるだなんてことが…万が一事実だとしたら………それこそ…口が裂けても言えないでしょうしね…」
黒川の言葉に
タクミは激しく反応した
「…なっ……そんな事ある訳ないだろ!…アンタ何なんだよ!…リサ…行くぞ…」
タクミは何も言わず
私の手を引いて早足で歩いた
私はされるがまま彼について行った
" あの男はとうとう 私とサトルの秘密に気付いてしまった "
" 公になるのも もう時間の問題だ "
" その前に 早くあの部屋から出て行かなくては "
" 誰にも見つからないように姿を消そう…そうすれば私の存在を証明しようが無くなるのだから "
タクミに手を引かれながら
頭の中ではそんな事をグルグルと考えていた