第7章 不安
リサ side
何日か前から
見知らぬ男が自分をつけている事には気が付いていた
マンションの近くや
学校
" SAISON " の帰りなどに
何度となくその男を見掛けていた
そして今日
その男はとうとう
客として " SAISON " にやって来た
男が帰った後
私は店のスタッフに
さっき何を聞かれたのかを尋ね
自分とサトルとの関係が調べられている事を確信した
そして
それはかなり近い所まで来ていた
その夜
pm8:00
いつものように
タクミから一緒に帰ろうと誘われた
" SAISON "を出て
並んで歩く私達の後ろから
聞き覚えのない声がした
「……スミマセン……杉本 リサさんですよね…」
振り返ると
あの男が立っていた
微かに息を呑んだ私を見て
タクミは警戒した声で男に聞いた
「…どちら様ですか?」
「…私……雑誌の記者をしている…黒川といいます」
男はニヤニヤと笑いながら
名刺を差し出した
「…俳優の真山さんの事で…少しだけお話聞かせてもらえませんか?……ご存知でしょう?……同じマンションに住んでいる…真山サトルさんです…」