第6章 新しい生活
そんな風に始まった2人の生活は
全てが手探りだった
サトルの仕事は
昼も夜も無い不規則なものだった
地方や海外へ行くために
何日も帰らない事も度々あった
リサはそんな中でも
約束をキチンと守り
学校には毎日通っていた
週3回通いで来る家政婦のトミさんとも
何となく
上手くやっているようだった
放課後には
サトルの友人であるシンヤが経営するカフェ
" SAISON " でアルバイトも始めた
リサが
高校生らしい日常を過ごせるようになった事を
サトルは心から喜んでいた
他人から見たら
ままごとのような生活なのかも知れない
けれど
今はこれで十分だった
夜中にマンションに帰り
玄関にリサの靴が並んでいるのを見ると
サトルはそれだけで幸せな気分になった
シャワーを浴び
ベッドに潜り込む
『……ん…………おかえりなさい…』
暗闇の中
リサの手が伸びてくると
サトルは腕の中に引き寄せ
そっと抱きしめる
お互いの体温と鼓動を感じながら
深い眠りに落ちていく
2人でいる時はいつも
こんな風にして眠っていた